2006年11月17日
オオサカ シリアス ナイト
その20
淀川大橋のたもとに立つと風の勢いがよくわかる。その夜の風は、ひとしお冷たく、また勢いもあった。この橋を渡って大和田の方へ帰る三井友彦は、コートの襟を立て、足早に橋を駆け抜けようとした。
ちょうど真ん中辺りに来た時、三井はそこにうずくまっている一人の男性を見つけた。
どうせ酔っぱらいが酔いつぶれて倒れているのだろうとは思ったが、この寒さでは見過ごすわけにもいかない。三井はおそるおそる声をかけた。 続きを読む
淀川大橋のたもとに立つと風の勢いがよくわかる。その夜の風は、ひとしお冷たく、また勢いもあった。この橋を渡って大和田の方へ帰る三井友彦は、コートの襟を立て、足早に橋を駆け抜けようとした。
ちょうど真ん中辺りに来た時、三井はそこにうずくまっている一人の男性を見つけた。
どうせ酔っぱらいが酔いつぶれて倒れているのだろうとは思ったが、この寒さでは見過ごすわけにもいかない。三井はおそるおそる声をかけた。 続きを読む
2006年11月16日
オオサカ シリアス ナイト
その19
「もしもし…」
受話器を取ったみどりは、無言の相手に何度か話しかけた後、はっと気が付いて叫んだ。
「松田さん…、松田さんでしょ!」
しかし、受話器の向こうからは何の応答もない。
「松田さん!」
もう一度、受話器に叫び欠けた時、「ツーツー」と音が鳴り、電話は切れた。
みどりは確信していた。今の無言電話は松田からの電話だと。しかし、彼がどうして…。
再び電話が鳴った。みどりは急いで受話器を上げた。 続きを読む
「もしもし…」
受話器を取ったみどりは、無言の相手に何度か話しかけた後、はっと気が付いて叫んだ。
「松田さん…、松田さんでしょ!」
しかし、受話器の向こうからは何の応答もない。
「松田さん!」
もう一度、受話器に叫び欠けた時、「ツーツー」と音が鳴り、電話は切れた。
みどりは確信していた。今の無言電話は松田からの電話だと。しかし、彼がどうして…。
再び電話が鳴った。みどりは急いで受話器を上げた。 続きを読む
2006年11月15日
オオサカ シリアス ナイト
その18
ママが話をはじめようとした矢先、遠野の携帯が勢いよく鳴った。
「ああ、私だ。どうした?」
遠野の顔色が瞬時に変わった。
「なにっ、わかった、すぐに行く」
「どうしたの警部?」
ママが不安げな表情で遠野を見上げる。
「ミサ…、いや紺野冴子の死体が発見された。場所は鳥飼大橋下の川原だ」
「えっ…!」
続きを読む
ママが話をはじめようとした矢先、遠野の携帯が勢いよく鳴った。
「ああ、私だ。どうした?」
遠野の顔色が瞬時に変わった。
「なにっ、わかった、すぐに行く」
「どうしたの警部?」
ママが不安げな表情で遠野を見上げる。
「ミサ…、いや紺野冴子の死体が発見された。場所は鳥飼大橋下の川原だ」
「えっ…!」
続きを読む
2006年11月14日
オオサカ シリアス ナイト
その17
「光一は実の弟じゃなくて、異母弟なの。私の実の母が家を出て、その後に迎えた女性との間に生まれたのが光一でね。でも、光一の母は、光一を産んで三ヶ月も経たないうちに事故で亡くなってしまって。私と光一とは年が十歳も離れていて、それから後は私が母代わりで光一の面倒をみてきたわ…」
そこでママは一息つくと、店のホステスに「千夏ちゃん、お客さんにおしぼり出してあげてね」と指示し、再び話し始めた。傍らで遠野も興味深く話を聞いている。 続きを読む
「光一は実の弟じゃなくて、異母弟なの。私の実の母が家を出て、その後に迎えた女性との間に生まれたのが光一でね。でも、光一の母は、光一を産んで三ヶ月も経たないうちに事故で亡くなってしまって。私と光一とは年が十歳も離れていて、それから後は私が母代わりで光一の面倒をみてきたわ…」
そこでママは一息つくと、店のホステスに「千夏ちゃん、お客さんにおしぼり出してあげてね」と指示し、再び話し始めた。傍らで遠野も興味深く話を聞いている。 続きを読む
2006年11月09日
オオサカ シリアス ナイト
その16
ママは、光一と聞いて、怪訝な表情を浮かべた。
「いらっしゃい。光一に何かご用?」
女性は、ママに向かって丁寧に挨拶をすると、
「このお写真を見ていただけませんでしょうか」
そう言って、一枚の写真をママに手渡した。
「あら…、この写真は私の弟よ。光一がどうかしたの?」
「……」 続きを読む
ママは、光一と聞いて、怪訝な表情を浮かべた。
「いらっしゃい。光一に何かご用?」
女性は、ママに向かって丁寧に挨拶をすると、
「このお写真を見ていただけませんでしょうか」
そう言って、一枚の写真をママに手渡した。
「あら…、この写真は私の弟よ。光一がどうかしたの?」
「……」 続きを読む
2006年11月07日
オオサカ シリアス ナイト
その15
「知ってるも何も、同じ堂山にあるスナックのママの弟で、光一て言うんだよ、この子」
英子は一瞬、耳を疑った。
「光一? カズじゃないの? 三宅一之…」
「違うわよ。光一だよ。嘘だと思うなら、このすぐ近くにある光洋ビルの三階に行ってごらんよ。『山茶花』という店よ」
早苗はそう言って、地図を書いてくれた。 続きを読む
「知ってるも何も、同じ堂山にあるスナックのママの弟で、光一て言うんだよ、この子」
英子は一瞬、耳を疑った。
「光一? カズじゃないの? 三宅一之…」
「違うわよ。光一だよ。嘘だと思うなら、このすぐ近くにある光洋ビルの三階に行ってごらんよ。『山茶花』という店よ」
早苗はそう言って、地図を書いてくれた。 続きを読む
2006年11月02日
オオサカ シリアス ナイト
その14
堂山の夜は不思議だ。東通りほどの賑わいはないが寂しくもない。喧噪としているわけではないが、かといって静かなわけでもない。大人の街のイメージはあるが、若い人たちの姿もよく見受けられる。それがはじめて堂山を訪れた英子の感想だった。その夜、英子は、友人を訪ねてこの街にやってきた。
キタに知人の少なかった英子は、旧い友人を捜し当て、この街にやってきたのだが、なかなか見つけられずにいた。 続きを読む
2006年11月01日
オオサカ シリアス ナイト
その13
うたた寝から目を覚ますと、遠野の姿はどこにもいなかった。
「斉藤はん、遠野はんは、もう出やはりましたぜ。起きたらタクシーを呼んでやってくれと言われて、お金預かってますよってに、クルマ、呼びまひょか」
居酒屋の主人、源さんが暖簾を下ろしながら斉藤に声をかけた。
遠野と一緒にこの店に立ち寄ったのが午後10時過ぎだった。しばらく飲んで急に眠気を催し、少し横になったのが午後10時45分、丸々2時間眠った計算になる。
「大将、どうもすみませんね。申し訳ないけどタクシー呼んでいただけますか」
しばらくしてタクシーがやって来た。 続きを読む
うたた寝から目を覚ますと、遠野の姿はどこにもいなかった。
「斉藤はん、遠野はんは、もう出やはりましたぜ。起きたらタクシーを呼んでやってくれと言われて、お金預かってますよってに、クルマ、呼びまひょか」
居酒屋の主人、源さんが暖簾を下ろしながら斉藤に声をかけた。
遠野と一緒にこの店に立ち寄ったのが午後10時過ぎだった。しばらく飲んで急に眠気を催し、少し横になったのが午後10時45分、丸々2時間眠った計算になる。
「大将、どうもすみませんね。申し訳ないけどタクシー呼んでいただけますか」
しばらくしてタクシーがやって来た。 続きを読む
2006年10月31日
オオサカ シリアス ナイト
その12
「どうして…?」
遠野警部の一人娘、みどりは受話器を抱えて泣いていた。
「どうしてなの?」
再び、みどりの泣き叫ぶような声が響いた。
「……」
受話器の向こう側からは何も聞こえて来ない。 続きを読む
「どうして…?」
遠野警部の一人娘、みどりは受話器を抱えて泣いていた。
「どうしてなの?」
再び、みどりの泣き叫ぶような声が響いた。
「……」
受話器の向こう側からは何も聞こえて来ない。 続きを読む
2006年10月30日
オオサカ シリアス ナイト
その11
新聞社に送られて来る数々の投稿や情報を伝えてくる電話、メールを整理するのは矢崎治郎の仕事ではない。だが、妹英子の相談を受けて以来、治郎は、何かが起こりつつある予感にとらわれ、足繁く、その部署に足を運んでいた。
世の中が大きく変動する時、一夜にしてそれは変わるわけではなく、そこには必ず何らかの予兆がある。それが何であるか、治郎にもまだわかっていない。ただ、記者の勘とでもいったらいいのだろうか。大きな波の存在を感じはじめていることは確かだった。しかもそれはいい波ではない。いってみれば不幸な波の予感だった。 続きを読む
新聞社に送られて来る数々の投稿や情報を伝えてくる電話、メールを整理するのは矢崎治郎の仕事ではない。だが、妹英子の相談を受けて以来、治郎は、何かが起こりつつある予感にとらわれ、足繁く、その部署に足を運んでいた。
世の中が大きく変動する時、一夜にしてそれは変わるわけではなく、そこには必ず何らかの予兆がある。それが何であるか、治郎にもまだわかっていない。ただ、記者の勘とでもいったらいいのだろうか。大きな波の存在を感じはじめていることは確かだった。しかもそれはいい波ではない。いってみれば不幸な波の予感だった。 続きを読む
2006年10月26日
オオサカ シリアス ナイト
その10
道頓堀にほど近い場所に「エスト」というゲーム喫茶があった。パチンコ屋が立ち並ぶメインの通りから少し離れた雑居ビルの地下にあり、一見では入れないような雰囲気が漂う怪しげな喫茶店であった。
地下に入る入り口に「ゲーム喫茶エスト」書かれた看板があり、狭い怪談を下りて行くと、突き当たりに入り口があった。中に入ると昼間でも薄暗く、常連らしき人物が二人、三人、ゲームに興じていた。
カウンターと四人がけのテーブルが七つ、テーブルにはすべてゲームがついている。入り口の狭さからは想像出来ない意外に広い店内に驚かされる。 続きを読む
道頓堀にほど近い場所に「エスト」というゲーム喫茶があった。パチンコ屋が立ち並ぶメインの通りから少し離れた雑居ビルの地下にあり、一見では入れないような雰囲気が漂う怪しげな喫茶店であった。
地下に入る入り口に「ゲーム喫茶エスト」書かれた看板があり、狭い怪談を下りて行くと、突き当たりに入り口があった。中に入ると昼間でも薄暗く、常連らしき人物が二人、三人、ゲームに興じていた。
カウンターと四人がけのテーブルが七つ、テーブルにはすべてゲームがついている。入り口の狭さからは想像出来ない意外に広い店内に驚かされる。 続きを読む
2006年10月17日
オオサカ シリアス ナイト
第一章その9
英子は混乱していた。カズが行方不明になってからというもの、一向に気分が晴れないのだ。
単なる遊び相手の一人ではないか。何を心配し、考える必要があるのか。どうせカズだって、自分のことを真剣に考えてくれていたわけではない。カズに何人かの女がいるだろうことは承知していた…。なのに英子は日がなカズのことばかり考え続けている。 続きを読む
英子は混乱していた。カズが行方不明になってからというもの、一向に気分が晴れないのだ。
単なる遊び相手の一人ではないか。何を心配し、考える必要があるのか。どうせカズだって、自分のことを真剣に考えてくれていたわけではない。カズに何人かの女がいるだろうことは承知していた…。なのに英子は日がなカズのことばかり考え続けている。 続きを読む
2006年10月05日
オオサカ シリアス ナイト
第一章 その8
恋といえるようなものではなかったが、遠野は、娘と似た年代のミサに興味を持ち、暇があればミサのいるスナックに足繁く通うようになった。
その夜も遠野は勤務時間を終えて堂山のその店に部下の斉藤と共に立ち寄った。
「あらぁいらっしゃい。ごめんね、今日、ミサちゃんまだ来てへんのよ」
「今日は確か金曜だったな。あの子の入る日なのにおかしいな」
「そうなんですよ。いつも、連絡くれるのにまだ連絡がなくて…。どないしたんでしょうねえ」 続きを読む
恋といえるようなものではなかったが、遠野は、娘と似た年代のミサに興味を持ち、暇があればミサのいるスナックに足繁く通うようになった。
その夜も遠野は勤務時間を終えて堂山のその店に部下の斉藤と共に立ち寄った。
「あらぁいらっしゃい。ごめんね、今日、ミサちゃんまだ来てへんのよ」
「今日は確か金曜だったな。あの子の入る日なのにおかしいな」
「そうなんですよ。いつも、連絡くれるのにまだ連絡がなくて…。どないしたんでしょうねえ」 続きを読む
2006年10月03日
オオサカ シリアス ナイト
第一章 その7
夜のR171を走りながら矢崎治郎は、いくつかの気になる事件と今回の英子の彼の事件を考え併せていた。
蒸発、誘拐に関する事件が最近あまりにも多すぎる。偶然だろうか、それとも仕組まれたものだろうか。
藍色のBMWを路上に停車させた矢崎は、高層の英子の住むマンションへと急いで入って行った。
続きを読む
夜のR171を走りながら矢崎治郎は、いくつかの気になる事件と今回の英子の彼の事件を考え併せていた。
蒸発、誘拐に関する事件が最近あまりにも多すぎる。偶然だろうか、それとも仕組まれたものだろうか。
藍色のBMWを路上に停車させた矢崎は、高層の英子の住むマンションへと急いで入って行った。
続きを読む
2006年09月30日
オオサカ シリアス ナイト
第一章その6
専務を見送り、二人きりになると下川はいきなり熱い息を吐き、英子の肩を抱いてきた。
「あらあら下ちゃん。お嬢ちゃん嫌がってるじゃないの」
ちょうど外に出ていた「エンドレス」のママ、静がそれを見て下川をさりげなくたしなめた。
「下ちゃん。もう少し一緒に呑もうよ。久しぶりだしさあ」
下川は、英子の肩から腕を下ろし、ママに従うようにして渋々ついていった。静は英子を振り返ると、今のうちにお帰りとばかりに英子に向かって小さく手を振る。それを合図に、英子は「部長、失礼します」そう叫んでその場を去った。 続きを読む
専務を見送り、二人きりになると下川はいきなり熱い息を吐き、英子の肩を抱いてきた。
「あらあら下ちゃん。お嬢ちゃん嫌がってるじゃないの」
ちょうど外に出ていた「エンドレス」のママ、静がそれを見て下川をさりげなくたしなめた。
「下ちゃん。もう少し一緒に呑もうよ。久しぶりだしさあ」
下川は、英子の肩から腕を下ろし、ママに従うようにして渋々ついていった。静は英子を振り返ると、今のうちにお帰りとばかりに英子に向かって小さく手を振る。それを合図に、英子は「部長、失礼します」そう叫んでその場を去った。 続きを読む
2006年09月27日
オオサカ シリアス ナイト
第一章その5
「警部、どうかしましたか?」
息せき切って部屋の中に入って来た斉藤を見て、遠野が言った。
「斉藤、おまえ、これに見覚えがないか」
「これって…?」
遠野から手渡されたものは携帯電話に付けるストラップだった。 続きを読む
「警部、どうかしましたか?」
息せき切って部屋の中に入って来た斉藤を見て、遠野が言った。
「斉藤、おまえ、これに見覚えがないか」
「これって…?」
遠野から手渡されたものは携帯電話に付けるストラップだった。 続きを読む
2006年09月25日
オオサカ シリアス ナイト
第一章その4
「英子か。おれだ」
「ちょっと待ってね。場所を移動するから」
そう言って、英子は席を立ち、廊下へ出た。通路には人はいない。
「えらく早いわね。それでどうだった?」
「ああ、彼氏のような失踪だが、やっぱり事件としては出ていないな」
英子は少しがっかりした口調で、「そうなの…」と肩を落とした。もし、同じような事件があれば、その関連の事件ということで警察に届け、調査してもらえるのにと思っていたのだ。 続きを読む
「英子か。おれだ」
「ちょっと待ってね。場所を移動するから」
そう言って、英子は席を立ち、廊下へ出た。通路には人はいない。
「えらく早いわね。それでどうだった?」
「ああ、彼氏のような失踪だが、やっぱり事件としては出ていないな」
英子は少しがっかりした口調で、「そうなの…」と肩を落とした。もし、同じような事件があれば、その関連の事件ということで警察に届け、調査してもらえるのにと思っていたのだ。 続きを読む
2006年09月23日
オオサカ シリアス ナイト
第一章その3
午後11時を過ぎても何の連絡もない。思い悩んだ英子は、兄に電話をした。
「どうした。何かあったんか?」
英子の兄、矢崎治郎の重い声が耳にずんと響く。
英子にとって兄は、子供の頃からずっと頼りになる存在だった。それは大人になった今も変わってはいない。 続きを読む
午後11時を過ぎても何の連絡もない。思い悩んだ英子は、兄に電話をした。
「どうした。何かあったんか?」
英子の兄、矢崎治郎の重い声が耳にずんと響く。
英子にとって兄は、子供の頃からずっと頼りになる存在だった。それは大人になった今も変わってはいない。 続きを読む
2006年09月23日
オオサカ シリアス ナイト
第一章その2
電車を下りると午後8時を過ぎていた。ホームに立った英子は再び、男に向かって携帯を鳴らした。だが、相変わらず何の反応もない。
どうしたんだろう…。
英子の不安はますます募った。電車の中で何度かメールを飛ばしたものの、それに対する反応もない。事件にでも巻き込まれたのだろうか。考えられることはそれしかなかった。 続きを読む
電車を下りると午後8時を過ぎていた。ホームに立った英子は再び、男に向かって携帯を鳴らした。だが、相変わらず何の反応もない。
どうしたんだろう…。
英子の不安はますます募った。電車の中で何度かメールを飛ばしたものの、それに対する反応もない。事件にでも巻き込まれたのだろうか。考えられることはそれしかなかった。 続きを読む
2006年09月21日
オオサカ シリアス ナイト
道頓堀川を眺めながら、英子は一つ小さな吐息をもらした。待ち合わせの時間より10分ほど早く着いた。週に何度かこの喫茶店で待ち合わせるが、彼は自分より早く来たためしがない。それどころか最近は30分遅れもざらになっている。「年下の彼はこれだから嫌だ…」そうつぶやくものの、好きになったのは自分のほうだ。5歳も年下の遊び盛りの男を自分はなぜ好きになったのだろうか。今さらながら悔やむが、悔やんでも仕方がない。今は、彼にどうしようもなく惚れている。この気持ちはとうてい消せそうにない。 続きを読む