2006年12月04日
オオサカ シリアス ナイト
その3
場内は暗くなったが、香山はまだ席に戻って来ない。美菜は時間をもてあますように会場を眺め回した。大きな大阪城ホール一杯に人が渦巻くようにして入っている。しかも熱気がすごい。この熱気はどこから来ているのだろう。美菜がそんなことを考えているうちに始まりの合図であろう、ファンファーレが音高く鳴った。
おごそかな雰囲気の中で、それははじまった。そこではじめて美菜は、これが新興宗教の集会らしいことに気が付いた。
場内は暗くなったが、香山はまだ席に戻って来ない。美菜は時間をもてあますように会場を眺め回した。大きな大阪城ホール一杯に人が渦巻くようにして入っている。しかも熱気がすごい。この熱気はどこから来ているのだろう。美菜がそんなことを考えているうちに始まりの合図であろう、ファンファーレが音高く鳴った。
おごそかな雰囲気の中で、それははじまった。そこではじめて美菜は、これが新興宗教の集会らしいことに気が付いた。
司会が登場し、本日の集会のスケジュールを説明し、続いて、数人の男女が登場した後、本命が登場した。
男とも女ともつかない不思議な美しさを持つその人は自らを「私は神の使人である」と言い、ステージの中央に立つと、着ていた七色の衣を翻しながら、澄んだ声で言い放った。
「おまえたちに告ぐ。おまえたちは、己の心の中に棲む悪の存在を知っておるか」
場内がザワザワと騒ぐ。ステージの中央、妖しい色のスポットライトを浴びた使人はなおも語る。
「人の根源は悪である。そのことを見つめようとしないおまえたちは、偽善者である」
叫びとも、歌ともつかない声が場内のあちこちから響く。
「偽善者のおまえたちに告ぐ。おまえたちの精神は荒み、荒廃しきっている。愚か者のおまえたちを救う者は神によって選ばれし魔物たちである」
泣き出す者もおればひれ伏す者もいる。場内は一瞬のうちに大音響に包まれる。
それが集会の正体だった。
美菜は席を立って出ようと思った。すると、その腕を強く握った者がいた。香山であった。
「どこへ行くんだい」
美菜は一瞬、ドキッとした。香山の着ている服が変わっていたからだ。
「香山さん、その服は?」
「これかい。これがぼくの制服さ。今、帰ったら駄目だよ。もっと使人さまのお話をちゃんと聞かなくちゃ」
香山は医師が着るような白い衣服を身につけ、顔には大きなマスクを付けていた。
美菜が躊躇しているとステージに白いもやが立ちこめ、大きな太鼓の音と共にそれは現れた。
男とも女ともつかない不思議な美しさを持つその人は自らを「私は神の使人である」と言い、ステージの中央に立つと、着ていた七色の衣を翻しながら、澄んだ声で言い放った。
「おまえたちに告ぐ。おまえたちは、己の心の中に棲む悪の存在を知っておるか」
場内がザワザワと騒ぐ。ステージの中央、妖しい色のスポットライトを浴びた使人はなおも語る。
「人の根源は悪である。そのことを見つめようとしないおまえたちは、偽善者である」
叫びとも、歌ともつかない声が場内のあちこちから響く。
「偽善者のおまえたちに告ぐ。おまえたちの精神は荒み、荒廃しきっている。愚か者のおまえたちを救う者は神によって選ばれし魔物たちである」
泣き出す者もおればひれ伏す者もいる。場内は一瞬のうちに大音響に包まれる。
それが集会の正体だった。
美菜は席を立って出ようと思った。すると、その腕を強く握った者がいた。香山であった。
「どこへ行くんだい」
美菜は一瞬、ドキッとした。香山の着ている服が変わっていたからだ。
「香山さん、その服は?」
「これかい。これがぼくの制服さ。今、帰ったら駄目だよ。もっと使人さまのお話をちゃんと聞かなくちゃ」
香山は医師が着るような白い衣服を身につけ、顔には大きなマスクを付けていた。
美菜が躊躇しているとステージに白いもやが立ちこめ、大きな太鼓の音と共にそれは現れた。
Posted by ゆーじゅん at 09:05│Comments(0)
│第二章
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