2006年12月01日
オオサカ シリアス ナイト
その二
「待った?」
「いえ、今来たばかりです」
美菜は香山の目をまともに見ることが出来なかった。
「さ、行こう」
香山の腕が美菜の肩をやさしく抱く。瞬間、美菜は体をこわばらせた。まともに歩くことが出来ない。香山が放つ香りのいい香水に包まれ、ようやく美菜は歩をすすめることが出来た。
駅から出ると、いつの間にか雨は止んでいた。
「待った?」
「いえ、今来たばかりです」
美菜は香山の目をまともに見ることが出来なかった。
「さ、行こう」
香山の腕が美菜の肩をやさしく抱く。瞬間、美菜は体をこわばらせた。まともに歩くことが出来ない。香山が放つ香りのいい香水に包まれ、ようやく美菜は歩をすすめることが出来た。
駅から出ると、いつの間にか雨は止んでいた。
「それにしても久しぶりだね。元気にしてた?」
優しい声は変わっていない。
「ええ。ごく普通に。何も変わっていません」
「そうか。でも元気でよかった」
周りを歩く女性たちが香山に注目しているのがよくわかる。それほど彼は目立つ存在だった。
「今日は何があるんですか?」
「今、歩いているたくさんの人たちがいるだろ。この人たちもみな、これからおれたちが行く場所に向かっているんだよ。これから行く集会は、きっときみを満足させてくれると思う。それほど素晴らしい集会なんだ」
「……」
「きみを真っ先に案内したかった。参加してくれてよかったよ」
美菜は顔が上気するのを感じ、思わず下を向いた。
大阪城ホールはすぐそこに迫っていた。
会場に入るとすでに一万はゆうに超える人たちが席に着いていた。年齢は、二十代、三十代が目に付き、男女の比率でいえばわずかに女性の方が勝っているように見えた。
「席は取ってあるよ。前の方に取ってあるからね」
そう言って香山は美菜の手を取って案内した。
美菜は、まだこの集会が何の集会であるかを知っていない。それでも香山とこうやって一緒にいられるだけで十分幸せだった。
「はじまるまでまだ時間があるからきみはここに座っていて。ぼくはちょっと挨拶に行って来るから」
美菜を席に座らせると、香山は会場の中に消えて行った。多少の不安はあったが、幸せな気分は変わらなかった。
同じ会場に、斉藤と遠野がいた。はるか後方の席ではあったが、二人は美菜たちより十分ほど早く会場入りし、一般の客に混じって座っていた。
優しい声は変わっていない。
「ええ。ごく普通に。何も変わっていません」
「そうか。でも元気でよかった」
周りを歩く女性たちが香山に注目しているのがよくわかる。それほど彼は目立つ存在だった。
「今日は何があるんですか?」
「今、歩いているたくさんの人たちがいるだろ。この人たちもみな、これからおれたちが行く場所に向かっているんだよ。これから行く集会は、きっときみを満足させてくれると思う。それほど素晴らしい集会なんだ」
「……」
「きみを真っ先に案内したかった。参加してくれてよかったよ」
美菜は顔が上気するのを感じ、思わず下を向いた。
大阪城ホールはすぐそこに迫っていた。
会場に入るとすでに一万はゆうに超える人たちが席に着いていた。年齢は、二十代、三十代が目に付き、男女の比率でいえばわずかに女性の方が勝っているように見えた。
「席は取ってあるよ。前の方に取ってあるからね」
そう言って香山は美菜の手を取って案内した。
美菜は、まだこの集会が何の集会であるかを知っていない。それでも香山とこうやって一緒にいられるだけで十分幸せだった。
「はじまるまでまだ時間があるからきみはここに座っていて。ぼくはちょっと挨拶に行って来るから」
美菜を席に座らせると、香山は会場の中に消えて行った。多少の不安はあったが、幸せな気分は変わらなかった。
同じ会場に、斉藤と遠野がいた。はるか後方の席ではあったが、二人は美菜たちより十分ほど早く会場入りし、一般の客に混じって座っていた。
Posted by ゆーじゅん at 10:07│Comments(0)
│第二章
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