オオサカジン

  | 大阪市

新規登録ログインヘルプ


2006年09月30日

オオサカ シリアス ナイト

第一章その6

 専務を見送り、二人きりになると下川はいきなり熱い息を吐き、英子の肩を抱いてきた。
 「あらあら下ちゃん。お嬢ちゃん嫌がってるじゃないの」
 ちょうど外に出ていた「エンドレス」のママ、静がそれを見て下川をさりげなくたしなめた。
 「下ちゃん。もう少し一緒に呑もうよ。久しぶりだしさあ」
 下川は、英子の肩から腕を下ろし、ママに従うようにして渋々ついていった。静は英子を振り返ると、今のうちにお帰りとばかりに英子に向かって小さく手を振る。それを合図に、英子は「部長、失礼します」そう叫んでその場を去った。

 新地の喧噪の中を歩きながら思いついたように携帯を見るが、カズからの連絡は入っていない。こちらから電話をしても一向にかからない。本当にどうしてしまったのだろうか。
 江坂までタクシーを使えばそう遠い距離ではない。新御堂を走って江坂のマンションに着くと午前零時をわずかに回っていた。灯りをつけ、テレビをつけ、衣服を脱ぐと人心地ついた。
 あまり飲んではいないつもりだったが、それでも顔が火照り、身体が熱い。シャワーを浴び、冷たい水をあおると、ようやく落ち着いた。
 裸の身体にバススロープを巻き付け、ソファに腰を掛けたところで、ドアの新聞受けに何かが挟まっているのに気付いた。
 広告だろうと思ったがそうでもなかった。白い紙に「おねえ。助けてくれ」と血のついた指文字らしいもので書かれていた。
 カズだ…! 英子はあわてて携帯を探した。どこに置いたのだろう、少しあせっている。バッグの中に入れていたことを思い出し、急いで兄に電話をした。
 「なんだ。こんなに遅く」
 不機嫌な寝起きの兄の声がした。
 「ごめん。でも、大変なの。私の彼がデート中に突然行方不明になった話はこの間したでしょ」
 「ああ、聞いた」
 「その彼から…。いえ、正確には彼とははっきり言えないんだけれど、ドアの新聞受けに彼らしき文字で、しかも血のついた指文字で『おねえ、『助けてくれ』と書いた紙が挟まれていたの」
 「……」
 「どうしようお兄ちゃん。きっと彼、何かの事件に巻き込まれたのよ」
 「わかった。今からそっちへ行くからその紙を見せてくれ」
 英子の兄は新聞記者として第一線で働いていたからフットワークは軽かった。家は池田のほうだったが、30分も経たないうちにやって来た。


同じカテゴリー(第一章)の記事
 オオサカ シリアス ナイト (2006-11-17 09:05)
 オオサカ シリアス ナイト (2006-11-16 21:01)
 オオサカ シリアス ナイト (2006-11-15 11:12)
 オオサカ シリアス ナイト (2006-11-14 12:00)
 オオサカ シリアス ナイト (2006-11-09 13:25)
 オオサカ シリアス ナイト (2006-11-07 12:25)

Posted by ゆーじゅん at 08:52│Comments(0)第一章
この記事へのトラックバック
こんにちは!管理者のアオタです。寒くなって来ましたが、体調はどうですか?青森はスゴイ雪です!今回は最近注目の話題、ヤニク・シルバーの記事です。セールスレターやタイトル、悩...
いいタイトルは天才の作品【失業保険に頼らない!脱サラ男の資産形成ブログ!】【失業保険に頼らない!脱サラ男の資産形成ブログ!】at 2006年12月05日 23:56
バラエティー番組で大活躍のタレント・久本雅美(46)に、10歳以上?年下の?男性らとの熱愛裏話が関係者のあいだで持ち上がった。
久本雅美 年下 カズ似 男性と濃厚な夜!! 【久本雅美 年下 カズ似 男性と濃厚な夜!! 】at 2007年05月19日 19:25
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

無題ドキュメント

オオサカジン

  | 大阪市

新規登録ログインヘルプ