2007年06月08日
オオサカ シリアス ナイト
その19
「これをどうやって手に入れたのですか?」
「蛇の道は蛇だよ。矢崎くん、きみがどういう理由でこれを記事にしようとしているかは知らないが、世の中には、妙な義憤に駆られて命を粗末にする者も多い。せいぜい気を付けるんだね。今回は忠告だが、この次はそうはならないかもしれない」
落ち着き払った男の声が返って不気味さを増長していた。
「これをどうやって手に入れたのですか?」
「蛇の道は蛇だよ。矢崎くん、きみがどういう理由でこれを記事にしようとしているかは知らないが、世の中には、妙な義憤に駆られて命を粗末にする者も多い。せいぜい気を付けるんだね。今回は忠告だが、この次はそうはならないかもしれない」
落ち着き払った男の声が返って不気味さを増長していた。
「書くな、掲載するなということですか?」
男はタバコに火を点け、静かに煙りを吐き出した。
「そう受け取ってもらってもかまわない。とにかく命を大事にすることだ」
「……」
治郎はしばらく男を注視した。この男はいったい何物だろう。正体がわからない。
「それを言うために私をここへ呼んだのですか?」
「それもある。だが、それだけではない。きみに見ておいてもらいたいものがある」
男は入り口に向かって声を上げた。
「おい!」と。
ドアが開いて数人の純白の衣裳に身を包んだ男女が現れた。
治郎は目を見開いてその男女を見た。いつか、大阪城ホールで見た、新興宗教とおぼしきイベントで見かけた男女だった。
「矢崎くん、彼等、彼女たちの中にきみの知っている者がいるはずだ、いや、知っているというよりも探しているといった方が正しいかもしれんがね」
矢崎は自分の方に向かって歩いてくる男女五人に注目した。白い着物と袴に身を包んだ、まるで巫女のようなスタイル、男性が四名、女性が一名、誰がどうなのか見分けがつかない。
「あっ…!」
中央に立つ一人の男性を見た時、治郎は思わず声を上げた。
「き、きみは…?!」
治郎の前に立ったその男性は何も言わずただ、治郎を見つめていた。
「カズじゃないか…?」
男性は表情を変えず、治郎を見つめている。
「はっははは…。そうだよ。その男は矢崎くん、きみの妹さんが探し歩いている男だよ」
音尾の言葉にかまわず、治郎はその男だけを凝視した。
「きみは、なぜここに?」
男はタバコに火を点け、静かに煙りを吐き出した。
「そう受け取ってもらってもかまわない。とにかく命を大事にすることだ」
「……」
治郎はしばらく男を注視した。この男はいったい何物だろう。正体がわからない。
「それを言うために私をここへ呼んだのですか?」
「それもある。だが、それだけではない。きみに見ておいてもらいたいものがある」
男は入り口に向かって声を上げた。
「おい!」と。
ドアが開いて数人の純白の衣裳に身を包んだ男女が現れた。
治郎は目を見開いてその男女を見た。いつか、大阪城ホールで見た、新興宗教とおぼしきイベントで見かけた男女だった。
「矢崎くん、彼等、彼女たちの中にきみの知っている者がいるはずだ、いや、知っているというよりも探しているといった方が正しいかもしれんがね」
矢崎は自分の方に向かって歩いてくる男女五人に注目した。白い着物と袴に身を包んだ、まるで巫女のようなスタイル、男性が四名、女性が一名、誰がどうなのか見分けがつかない。
「あっ…!」
中央に立つ一人の男性を見た時、治郎は思わず声を上げた。
「き、きみは…?!」
治郎の前に立ったその男性は何も言わずただ、治郎を見つめていた。
「カズじゃないか…?」
男性は表情を変えず、治郎を見つめている。
「はっははは…。そうだよ。その男は矢崎くん、きみの妹さんが探し歩いている男だよ」
音尾の言葉にかまわず、治郎はその男だけを凝視した。
「きみは、なぜここに?」
Posted by ゆーじゅん at 12:00│Comments(0)
│第二章
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