2007年06月13日
オオサカ シリアス ナイト
その20
中央に立つその男は、英子に見せてもらった写真とは雰囲気が一変していた。茶髪が黒髪になり、赤銅色に焼けた肌は色白になっており、写真の面影はまるでなかった。
「カズさんだったね。いや、光一くんか…。英子がどれほどきみのことを心配し、探し回っていたか、こういう状態でなければゆっくりと説明してあげたいぐらいだよ」
中央に立つその男は、英子に見せてもらった写真とは雰囲気が一変していた。茶髪が黒髪になり、赤銅色に焼けた肌は色白になっており、写真の面影はまるでなかった。
「カズさんだったね。いや、光一くんか…。英子がどれほどきみのことを心配し、探し回っていたか、こういう状態でなければゆっくりと説明してあげたいぐらいだよ」
「……」
「江崎さん。その男に軽々しく声をかけないでもらいたいね。その男は今や我々の要ともいうべきカリスマ教祖だ。あなた方の知っている男はここにはいない」
背後から重々しい男の声がした。
「カリスマ教祖?」
振り返って江崎が男を見つめた。男も治郎を見つめた。
「そうだ。彼は信徒三万人を要する我々の象徴なのだよ」
「なぜ、彼が…?」治郎が問うと、
「それは彼が選ばれた男であるからだよ」と男が答えた。
「選ばれた? 彼に人の上に立つカリスマ性があるとは思えないが…」
「それはあなた方の見方だ。彼は充分、カリスマとなれる人物だ。その証拠に彼を慕う信者が増えて来ている。…教祖様、もうお部屋に戻ってお休みください」
男が丁寧な口調でそう言うと、カズを含む四人の男女は静かに部屋から出て行った。
四人が部屋から出ていくのを見届けると、男はあらためて治郎を見直し、
「ところで治郎さん。申し訳ないがしばらくここにとどまっていただくことになる」
「断ったら…?」
「断れないでしょう。断ったら明日からあなたは生きてはいない。少しでも長生きしたかったら私の言う通りにすることですな。待遇は決して悪くはありませんよ。ただし、あなたが逃亡などというバカなことを考えない限りはね」
男の言葉が終わると同時に、ドアの外でガードをしていた屈強な二人の男が入って来て、荒々しく治郎の肩を捕らえた。
「江崎さん。その男に軽々しく声をかけないでもらいたいね。その男は今や我々の要ともいうべきカリスマ教祖だ。あなた方の知っている男はここにはいない」
背後から重々しい男の声がした。
「カリスマ教祖?」
振り返って江崎が男を見つめた。男も治郎を見つめた。
「そうだ。彼は信徒三万人を要する我々の象徴なのだよ」
「なぜ、彼が…?」治郎が問うと、
「それは彼が選ばれた男であるからだよ」と男が答えた。
「選ばれた? 彼に人の上に立つカリスマ性があるとは思えないが…」
「それはあなた方の見方だ。彼は充分、カリスマとなれる人物だ。その証拠に彼を慕う信者が増えて来ている。…教祖様、もうお部屋に戻ってお休みください」
男が丁寧な口調でそう言うと、カズを含む四人の男女は静かに部屋から出て行った。
四人が部屋から出ていくのを見届けると、男はあらためて治郎を見直し、
「ところで治郎さん。申し訳ないがしばらくここにとどまっていただくことになる」
「断ったら…?」
「断れないでしょう。断ったら明日からあなたは生きてはいない。少しでも長生きしたかったら私の言う通りにすることですな。待遇は決して悪くはありませんよ。ただし、あなたが逃亡などというバカなことを考えない限りはね」
男の言葉が終わると同時に、ドアの外でガードをしていた屈強な二人の男が入って来て、荒々しく治郎の肩を捕らえた。
Posted by ゆーじゅん at 18:50│Comments(0)
│第二章
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